家屋の解体工事で、「費用の安さを重視する」という意見は多いと思います。しかし、コスト面だけで業者を選んでしまうと後々トラブルが発覚し余計に高くつくというケースがあります。
また、工事中は近隣の方への配慮も忘れてはいけません。そのためには安心して解体工事を任せられる業者選びが大切です。

この記事では解体工事の探し方や基礎知識、解体業者を選ぶ際にどんなことに注意しなければいけないかをご説明します。
Contents
解体業者の探し方(メリット&デメリット)
いざ解体業者を探そうと思ったとき、私たちはどのようにして探すべきなのでしょう。普段関わることのない業者に対して、「不安」「無知で怒られるかも」というイメージをお持ちの方もいるかもしれません。



メリット | デメリット | |
インターネット検索 | ・豊富な情報を見られる ・解体業者を比較しやすい |
ホームページを持っている会社が少ない |
解体業者紹介サービス |
・業者を探す手間がかからない ・複数の業者から相見積もりを取れる ・業者選びのアドバイスがもらえる |
・サイト自体が信頼できるものか
・解体業者がどんな基準で選ばれているのか注意が必要 |
タウンページ | 地域の解体業者が掲載されているので探しやすい | ・情報量が少なく、業者の実態がわからない
・解体業者がどんな基準で選ばれているのか注意が必要 |
知人からの紹介 | ・業者を探す手間がかからない
・紹介ということで安くしてもらえる可能性がある |
・相見積もりが取りづらい
・トラブルが起きたときの対処方法が難しい
|
ホームページでチェックしよう!解体業者・選び方のコツ
解体業者を探すときに、まずはインターネット検索で情報収集してみましょう。
「なんとなく良さそうだな!」という会社を見つけたときに、信頼できる業者かどうかをホームページ上で判断できたら便利ですよね。
連絡先や所在地がはっきりわかる業者を選ぶ
業者選びに失敗しないためには、まず、どこに会社があるのか所在がはっきりと分からなければいけません。たとえ会社の所在地が書かれていても、アパートの一室や一般家屋などの場合は注意してください。なかには、自転車操業で経営が危うくなると会社を潰し、新たに会社を起こすという業者もあります。
解体業にかかわる許可証や許可番号を確認する
解体業には解体工事業登録または、建設業許可が必要です。
「建設業法」で定められた「建築工事業」「土木工事業」「解体工事業」のうちいずれか1つを所有している、または「建築リサイクル法」で定められた「解体工事登録」がされていることが大前提です。
ホームページの会社概要欄に、許可証や許可番号があることを確認しましょう。
必要な資格 | 関わる法律 | 許可の申請先 |
解体工事業登録 | 建設リサイクル法 | 解体工事をする土地の管轄の都道府県での登録が必要 |
建設業許可 | 建設業法 | 建設工事を請け負う許可制度
解体工事業・土木工事業・建築工事業 のいずれかの許可を持っていること 1つの都道府県に事業所がある場合…都道府県知事許可 2つ以上…国土交通大臣許可 |
今までの工事の実績を載せているか
ホームページに今まで受注した工事を写真付きで載せている業者は、解体を考えている人に向けて分かりやすく伝えようという姿勢が伝わってきますね。
実績を載せられるということは業務をきちんと行えているということで、信頼度が高いといえます。
また、工事を発注した施主のコメントも合わせて載せられていると、施主側として参考になりますね。

マニフェスト(産業廃棄物管理伝票)
マニフェストとは「産業廃棄物管理伝票」のことを言います。
これは解体事業者が建物の解体で出た産業廃棄物の運搬や処理を、他の事業者に委託する場合、その最終処理までの工程を示したものです。
マニフェストがあることで、施主は解体によって出た廃棄物が、最終処分業者まで流れていく工程を把握することができるのです。解体業者は施主に、適切に処分していることを示す必要があります。なぜなら、解体業者が不法投棄をした場合、施主も罰せられるからです。
マニフェスト…(A.B1.B2.C1.C2.D.E票)
・交付年月日
・担当者名 ・産業廃棄物の種類 ・数量 ・排出事業者 ・収集運搬業者 ・処分業者 |
を各伝票に記載しています。
A票→保管票
B1票、B2票→運搬終了票 C1、C2表→保管票 D票→処分終了票 E票→最終処分終了票 |

マニフェストは7枚つづりで、各業者が各段階で押印(受付日・事業者名・担当者名)のうえ処理されます。業者は、それぞれの伝票を5年間保存する義務があります。
施主は、マニフェストのE票(最終処分終了票)のコピーを請求しましょう。E票は、収集運搬業者の記名・中間処分業者の受領・最終処分業者の廃棄物処分終了日の押印がされています。
万が一押印や記入漏れがあった場合、不適切に処分された可能性が高く、すぐに各業者に確認し役所にも相談したほうがよいでしょう。

重機を所有している?
重機はリースでも解体工事を行うことはできます。しかし、解体費用にリースの費用も上乗せされてしまうので、なるべく自社で所有・保管している業者を選びましょう。
概算見積もりに注意!
見積もりの仕方にも注意しましょう。電話での問い合わせで、建坪や構造を聞いただけで「〇万円くらいでできますよ」というのは無理があります。
解体工事は、工事を実施する建物の環境(道路の広さ・交通量)、屋内外に残る廃材量などによって費用は大幅に変わるからです。
現地調査には必ず立ち合い、充分に調査を行っているのか確認しましょう。
事前に建築図面や建物の登記簿があれば準備すれば、より正確な見積もりを取ることができます。
ブログやTwitterで情報を発信している
日々の会社の様子をSNSなどで発信している会社は、お客さんに見てもらおうと努力が感じられます。また、業者の代表自身や現場スタッフの写真を載せているとよりポイントが高いです。
事業内容や雰囲気が伝わってきて安心できますね。

電話がつながるか、電話対応はきちんとしているか、折り返しの連絡はすぐに来るかなど、実際に業者とのやり取りをしてみましょう。
話し方や応対の仕方で人柄もわかります。工事が始まってからトラブルにならないよう確認してください。
解体工事が始まってからの注意点

いよいよ解体工事の始まりです。施主としてどんなことに気をつけておけばいいのでしょう。工事中は以下のことをチェックしてください。
ご近所への配慮不足で近隣トラブルに
解体工事の際、ご近所への配慮を忘れてはいけません。トラブルを防ぐために近隣の方には、業者からも事前にあいさつ回りをしてもらいましょう。
ブルーシートのみで、養生をきちんとしないと粉塵が舞い迷惑となります。
また、交通量の多い道路には、ガードマンもつける必要があります。
解体工事でよくある近隣トラブル
ブルーシートだけの養生だったので粉塵が舞い、クレームがきた
⇒解決策 建物3面に養生シートを貼る
足場の設置範囲で隣家の境界線を越える ⇒解決策 ・業者だけではなく施主としても隣家の方々に丁寧に事情を説明する ・足場の強度を万全にする
交通量の多い道路に工事車両がはいることになり事故になりかけた ⇒解決策 ガードマンを配置する |
ほかにも
・近隣の方への「工事案内」に、業者と解体管理者名が記されているか
・作業時間を守っているか ・道路を掃除して帰るか ・粗暴な言葉遣いはしないか |
以上の点に注意し、業者による近隣トラブルを防ぎましょう。
工期が延びると追加費用発生や近隣トラブルにも
工事期間は業者にとっても重要なもの。優良な業者ならば、施主に工事のスケジュールと作業工程を工事前に説明します。
悪天候が続くと工期が延び、追加料金もかかるうえ、近隣の方にも迷惑がかかってしまいます。
・工事の進行具合をこまめに知らせてくれるか
・見積もりにない追加の工事が発生する場合、すぐに連絡してくるか
解体工事が始まれば、現場に行きご自身で状況を確認するのもよいでしょう。
解体工事後の注意点
工事終了後は何を確認するべきなのかな

解体工事は、工事が終わって「完了」ではありません。その後のトラブルを防ぐために、以下のことについて気をつけてください。
悪質業者による不法投棄は施主にも責任が
平成14年の「建設リサイクル法」施行によって、廃棄物の分別が義務付けられました。それまでの「ミンチ解体」と呼ばれる建物を一気に壊す解体方法は禁止となったのです。その後は「分別解体」と言って、屋根材、内壁、建具の分別解体後に、本体の解体をする解体方法に切り替わりました。
建築資材廃棄物を種類ごとに分別する解体方法で、廃棄物の中でも【コンクリート・アスファルト・木くず】は、特定建設資材として的確にリサイクルにまわす必要があります。「ミンチ解体」に比べ、手間も工期もかかるので、解体費用が上がっているのが現状です。
高騰する処分費を削減するために、廃材を山林や空き地に捨ててしまう悪質業者が多く存在します。これは業者だけではなく、施主も罰せられるので注意してください。

登記申請(建物滅失登記)を忘れずに
建物滅失登記
建物滅失登記とは、該当の建物がなくなったことを登記簿に登記することです。建物解体が完了したあと、1ヶ月以内に行います。
①登記簿謄本を取得(法務局)
②建物滅失登記の申請書を入手する(法務局) ⓷解体業者から「取り壊し証明書」と解体業者の印鑑証明、解体業者の登記簿謄本を用意する ④1~3の書類を法務局に提出する |
上記の手続きで、建物滅失登記を完了できます。登記を完了しなければ、固定資産税に関わってくるので気をつけましょう。
契約内容と現場の確認
解体終了後は、契約書の内容と合っているか、現場には残存物がないかを確認しましょう。なるべく解体現場で業者と立ち会っての確認が望ましいです。
まとめ
人生で一度あるかないかの解体工事。普段関わることのない業者探しは難しいですね。解体業者の探し方から選び方まで、各チェックポイントを参考に安心して任せられる解体業者を見つけてくださいね。